Pythonにおける「変数」とは、データを格納するための容器(または箱)を指します。変数には名前がついており、その名前を使って格納されたデータにアクセスしたり、そのデータを操作したりすることができます。
変数を「定義」するというのは、その変数を作成し、名前を付けることを意味します。Pythonでは、変数の定義は非常にシンプルです。例えば、次のように書くことで、名前が “x” の変数を定義できます。
x
ただし、これだけでは変数 “x” は何も値を持っていません。変数が値を持つようにするためには、その変数に何らかの値を「割り当て」する必要があります。この割り当てる操作を、プログラミングの世界では「代入」とも言います。割り当ては等号 (=) を使って行います。例えば、次のように書くことで、変数 “x” に整数の 5 を割り当てることができます。
x = 5
これで、変数 “x” は整数の 5 を格納しています。つまり、”x” の値は 5 となりました。
ここで注意したいのは、等号 (=) の役割についてです。数学の等号とは異なり、プログラミングにおける等号 (=) は「等しい」を意味するのではなく、「右の値を左の変数に割り当てる」を意味します。
したがって、以下のコードは、まず右側の 5 + 3 の計算を行い、その結果(つまり 8)を左側の変数 “x” に割り当てる、という動作をします。
x = 5 + 3
これにより、変数 “x” の値は 8 となります。
一度変数に値が割り当てられると、その変数を他の式の中で使用することができます。例えば。
x = 5
y = x + 3
この場合、2行目で変数 “x” の値(つまり 5)と 3 を足す計算が行われ、その結果(つまり 8)が変数 “y” に割り当てられます。したがって、このコードの実行後、変数 “y” の値は 8 となります。
x = 5
y = x + 3 # y の値は 8
また、変数には異なる種類のデータを割り当てることも可能です。例えば、整数だけでなく、浮動小数点数(つまり、小数)、文字列(テキスト)、リスト(複数の値を保持するデータ構造)なども変数に割り当てることができます。
x = 5 # x は整数
x = 3.14 # x は浮動小数点数
x = "Hello, World!" # x は文字列
x = [1, 2, 3] # x はリスト
ただし、このように同じ変数に異なる値を割り当てると、最後に割り当てられた値がその変数の値となり、以前に割り当てられていた値は失われてしまいます。このことから、変数の値は「変わる」ことができるという特性があることが理解できると思います。この特性が、変数という名前の由来でもあります。
最後に、変数の値は、再度同じ変数に値を割り当てることで変更することが可能です。例えば。
x = 5 # x の値は 5
x = 7 # x の値は 7
この例では、最初に “x” に 5 を割り当てていますが、次に “x” に 7 を割り当てることで、”x” の値は 7 に変わります。これが、変数の値を「更新」する基本的な方法です。