ここでは、PyCharmとPythonの仮想環境を使ってPythonの開発環境を設定する方法について説明します。今回はWeb開発を目的として、下記3つを環境要件として定めます。
- プロジェクトごとにPythonのバージョンを変更できること
- 仮想環境を利用してプロジェクトごとにパッケージを追加インストールできること
- クセがなく初心者でも分かりやすいこと
Pythonのインストールは、今回は直接OSにインストールする方法をとります。現在のWindows、Macともに複数のバージョンを上書きせずにインストールすることができます。仮想環境の構築は、dockerなどがありますが、初心者にはハードルが高いため、venvを利用します。また、Anaconda(Miniconda)は、パッケージがAnacondaとPyPIの2つになる複雑さ、サーバー本番環境で利用することは考えずらいため候補から外しました。
結局、このやり方が初心者にとって一番シンプルで分かりやすいと思います。
Pythonは公式サイトからダウンロードを行い、OSにインストールを行います。今回はWindowsで作業を進めます。
インストーラーを起動して、インストールを進めますが「Add python.exe to PATH」のチェックは不要です。仮想環境内のみで実行するため、OSにPATHを通す必要はありません。
Windowsは、複数バージョンのPythonをインストールできますが、PATHを通すと仮想環境外で、PATHを通したそのバージョンが実行されます。仮想環境内で、パッケージをインストールしたつもりが、うっかり仮想環境の外でパッケージをインストールすると、トラブルの元になりかねません。そのため直接Pythonを動かす予定がなければ、PATHは通さないほうが良いです。
複数のPythonをインストールすると、(ユーザー)\AppData\Local\Programs\Python\ にそれぞれ格納されます。ここでは、Python3.10と3.11がインストールされています。ディレクトリを見ると分かりますが、マイクロバージョンまで分けてインストールするこはできませんので、そこだけは少し注意です。
※Pythonのバージョン番号の命名は、Python(メジャーバージョン).(マイナーバージョン).(マイクロバージョン)に分かれます。Python 3.8.5というバージョン番号の場合、”3″はメジャーバージョン、”8″はマイナーバージョン、”5″はマイクロバージョンをそれぞれ表します。
Pycharmを起動して設定を行います。起動後にNew Projectを選択すると、どのようにしてPythonを実行したいのか設定をしなければなりません。いくつかの実行方法がありますが、ここではVirtualenvを選びます。そして、Base interpreter
(ベースインタープリター)を開くと、さきほどインストールした、Pythonのバージョンを選ぶことができます。利用したいバージョンを選択します。ここでは 3.11を選びました。
プロジェクトを作成すると、開発画面が開きます。ここで、PyCharm内のTerminalを開くとコマンド入力の頭に(venv)と表示され、すでに仮想環境内に入っていることが分かります。仮想環境に入るためのactivate
コマンドを入力する必要がないため少し便利です。
そして、Python -Vコマンドを入力して、Pythonのバージョンを表示すると3.11.3と表示されました。仮想環境内で、Pythonが有効に動いており、Base interpreter
で設定したPythonのバージョンであることも確認できます。
パッケージは、仮想環境ごとにインストールされるため、大元のPythonに影響を与えず、プロジェクト間でパッケージが衝突することもありません。
最後にPycharmを日本語してみましょう。Pluginの画面を表示して検索からJapanese Language Packをインストールして再起動を行なうとメニューが日本語になります。
日本語になりました。
これでPycharmで開発環境を整えることができました。